2011年8月3日水曜日

さようならニッポン

今回の私の日本滞在の最後の夜となりました。残念ながらサバティカルという贅沢な時間はこれをもって終わってしまい、今月半ばからハワイ大学で通常の業務を再開するのですが、ちょっとワケがあって、数日間カナダのヴァンクーヴァーに寄ってから(ハワイを通り越して行くので、「寄って」という表現はおかしいのですが)ホノルルに戻ります。

2009年秋からの一年間も日本で過ごし、半年弱ハワイに戻ってから、今回は7ヶ月の日本滞在でした。前回は、なにしろ18年ぶりの長期日本滞在だったので、帰国オバサン的カルチャーショックが多かったのですが、今回はそれに続いてのことだったので、それほどの違和感はありませんでした。しかし、今回の滞在中に東日本大震災が起こり、想像すらしなかった体験をすることになりました。直接的な影響はほとんど受けずに済む、ひじょうに恵まれた立場に私はいるわけですが、それでも、地震発生のその瞬間に日本にいて、そして震災後の日本を実際に経験したということは、自分にとってはとても大きな意味のあることでした。どう言葉にするべきかまだじゅうぶんに整理がついていませんが、この経験をしたことで、自分と日本の関係を大きく考え直すきっかけになったと思っています。

震災の影響で当初予定していた研究計画を大幅に変更することとなり、また、アマチュア・クライバーン・コンクール出場が決まってからは、かなりの時間と労力をピアノの練習にまわしたので、純粋な研究という意味では、あまり生産的とはいえないサバティカルだったかもしれません。それと同時に、当初はまるで想像すらしていなかった実に多くのいろいろなことを見たり感じたり考えたりすることにもなり、自分の思考や視座にとってはとても収穫が大きかったと思っています。また、研究プロジェクトを通じて、いろいろなかたとの新しい出会いもあり、これまでまるで知らなかった日本に触れることもできました。

さらに、個人的には、以前からの友達との関係を深めたり、音信が絶えていた知人と再会したり、親戚と新たな親交ができたりと、人間関係においてはこの上なく充実したときを過ごしました。メールやフェースブックやスカイプのおかげで、今回自分が日本を去っても、こうした人間関係は続いていくと確信できるので、日本を去る淋しさもだいぶ軽減されます。

当たり前ですが、ハワイにいて見る日本は、日本にいて経験する日本とは、かなり違うものになるはずです。そうした視点や立ち位置の相違を認識した上で、遠くにいるからこそ見えるもの、外にいるからこそ考えられることなどを、自分なりに見たり考えたりし続けていこうと思います。また、ハワイやアメリカ本土の話題についても、引き続きこのブログで紹介していくつもりですので、読者のみなさん、今後ともどうぞよろしくお願いします。それでは!