2011年3月8日火曜日

「全米一幸せな人物」がハワイに

数日前のニューヨーク・タイムズに掲載されたのが、ギャラップ社による「幸せ度」調査の結果。精神状態、仕事における満足度、食生活、健康状態、ストレス度などの、「クオリティ・オヴ・ライフ」を形成するさまざまな指標について、ランダムに選ばれた1000人のアメリカ人に質問した結果を、地域や年齢などの軸で分析したもの。このデータをもとに、「幸せ度」がもっとも高いはずの人物像を合成すると、こういうプロフィールに。65歳以上、背が高い、アジア系アメリカ人、ユダヤ教を信仰し、既婚で子どもがいる、ハワイに在住、自営業を営み、世帯収入は年間12万ドル以上。

そこまでなら、あくまで統計にもとづいた仮想のプロフィールなのですが、ニューヨーク・タイムズが実際にこのプロフィールに当てはまる人物を探したところ、実在の男性を発見。ハワイ大学のあるマノアというエリアに住む、69歳の中国系アメリカ人、Alvin Wong氏。医療関係の会社を営み、現在は、がん患者とその家族を支援するNPOを立ち上げているところ。ユダヤ教に改宗してホノルルにあるシナゴーグに通い、35年間の幸せな結婚生活を送り、成人したふたりの子どもがいる、とのこと。

ハワイに住むアジア系アメリカ人でユダヤ教を信仰している男性というのは数がきわめて限定されるので、プロフィールにぴったり合う人物がひとり特定できたわけですが、これはまあ、データに一致する人がたまたま存在したというだけであって、Wong氏が実際にアメリカ一幸せだということにはもちろんならないのですが、全米一幸せであるはずの人物をひとりに特定できたということ自体は、なんだか面白可笑しい。また、私は、アメリカにおけるアジア人とユダヤ人の歴史的・文化的関係に興味があって、いずれ研究プロジェクトにするつもり(本当はMusicians from a Different Shoreの後にそれをやるつもりだったのですが、ことの成り行きで、文化政策の日米比較のプロジェクトを先にやることになりました)なので、ハワイでユダヤ教に改宗したアジア系アメリカ人がこうして全国的に注目を集めているということ自体に、興味津々です。