2010年6月21日月曜日

仕事と家事の両立に悩むアメリカの新世代パパたち

父の日にちなんで、現代アメリカにおける父親の役割にまつわる記事がいろいろなところで掲載されていますが、ニューヨーク・タイムズに載ったのが、「ママと同じくらいストレスを感じている現代のパパ」という記事

私が憤慨した『セックス・アンド・ザ・シティ2』では、ミランダが弁護士としてのキャリアと子育ての両立に悩んでいますが、この記事によると、現代のアメリカにおいて、仕事と家庭の両立に悩んでいるのは女性ばかりではない、とのこと。いくつかの調査によると、現代の父親たちは、職場だけでなく家庭においても女性と同じくらい、ときには女性よりも多くの責任を果たしている。しかし、子育てをしている女性には勤務時間などについてある程度の柔軟な対応をする職場も、男性の家事や子育てにはおおむね非協力的であるため、フレックスタイムや育児休暇などが整備されている職場でも、女性と比べると男性はそうした制度を利用しないことが多い、とのことです。85%の男性が育児休暇をとるスウェーデンとはかなり事情が違います。共働きの夫婦のうち、ワーク・ライフ・バランス上の問題を感じているという女性が45%なのに対して、同じ問題を感じているという男性は59%という数字もあるらしい。

興味深いことに、男性が仕事と家庭の両立に悩むのは、職場の理解が欠けているというばかりではなく、自分の家事への貢献を妻がじゅうぶんに評価してくれない、という理由もあるようです。たしかに、一世代前の男性と比べると、今の男性は掃除や皿洗いなどをする時間は増えてはいるものの、共働きの男女が家事にかける時間全体を比較してみると、女性は週に28時間、男性は週16時間と、依然としてかなりの差がある。また、自分と相手が家事にかけている時間についての認識も、男女でかなりの差がある、というのが面白い。2008年のある調査によると、49%の男性が、妻と同じくらい、あるいは自分のほうが多く、育児にかかわっていると申告したのに対し、夫が自分と同じくらい、あるいは自分よりも多く、育児にかかわっていると申告した女性はわずか31%。料理や掃除についてもそうした認識の差はあきらかで、50%以上の男性が、自分が少なくとも半分の家事を担当していると申告したのに対し、70%の女性が、自分がすべての家事をやっていると申告している。なんだか笑ってしまいますね。

ただし、この背景には、男女それぞれ、自分のやっていることを誇張して認識しがち、という側面もあるのと同時に、相手がやっていることをじゅうぶんに認識していない、という部分もあるだろう、とのことです。たとえば、男性が子どものお弁当を用意する場合、その仕事は自分がやっている、と思うだろうけれども、妻がそのお弁当の材料を買ってきたりお弁当箱を洗ったりする時間や手間については思いが至っていないことがある。逆に、男性が三輪車の修理をしたり、子どもと一緒にビデオゲームをしたり、庭のおもちゃを片づけたりしても、妻はそれを「家事」と認識していない場合がある、など。なるほどねえ。

男性・女性ともに、ワーク・ライフ・バランスを達成するには、仕事と家庭を両立させやすい職場環境の整備も大事だけれども、それと同時に、共働きの夫婦が、互いの貢献や苦労を認識し、感謝し、気遣い合う、ということも大事だ、ということですね。共働きのみなさん、頑張ってください。